「榊山神社」 宮司 梶山望さん
熊野町で約1100年の歴史を誇り、町内外の多くの方々に崇められている榊山神社。
その神社を代々守り続ける宮司の梶山さんに神社のお仕事や地域についてお話を伺いました。
・梶山さん(榊山神社宮司)がずっとここを守られてきたんでしょうか。
そうですね。私は父の仕事を受け継いでという形です。その前は、私のおじいさんが宮司を務めていました。
・梶山さんで何代目になるんでしょうか。
私で57代目になります。
・普段はどのようなお仕事をされているんでしょうか?
基本的にはご祈願が入ってきます。神社は、厄払いであったり、七五三参りやお宮参りとか、交通安全でお車を持ってこられたりと、そういう祈願をするのが私たちのメインの仕事なんですが、それ以外にもお祭りがあったり、年中様々な行事があります。それらの準備も大事な仕事の1つですね。また、境内がかなり広いので、これを綺麗にする、維持管理するというのが大変なことでして、手が空いてる時には、どこかしら草を刈ったりとか、掃除をしたりというのが割合で言うと半分くらいそんな仕事をしてますね。他のお仕事に比べるとかなり特殊だと思います。
・この榊山神社以外に、お隣にもう1つ大きな神社があったと思うんですが、あちらも梶山さんが管理されているんですか?
はい、「熊野本宮神社」と言います。あそこも私の方で管理しています。だいたい800年前に紀州熊野本宮より勧請されまして、榊山神社と並んで鎮座する歴史ある神社です。春のお祭りは熊野本宮神社の方で4月にさせてもらって、秋のお祭りは、榊山神社で11月3日にさせてもらいます。また、下に筆塚もあるのですが、年に1回筆供養という行事があります。9月の秋分の日に使い終えた筆を、皆さんが持ってこられてお祓いをするという大きな行事です。
・お仕事について、大変だなと思うことなどはありますか?
そうですね。やっぱり大変なことは多いです。 例えば今日だと朝に地鎮祭が町内で2件あったんですが、1件終わって1時間半後には次の場所でまた地鎮祭がありました。一瞬こちらに戻って、さっとまた準備して行かないといけないんですが、準備が大体30分ぐらいかかるんです。30分ほど準備で式をして、また片付けて帰るという感じで午前中が終わります。
・ご準備も含めるとスケジュールがハードなんですね。
神社を維持管理してくことも大変なことの一つです。昨年末にこの神社を直したんですが、それにあたって7年ぐらいずっと会合を重ねて、寄付を募って、修理に入ってというかなり長い期間をかけて工事をしたのですが、これは自分たちが生きていくための仕事以外の部分、神社を維持していく、そういうこともかなりの割合でやらないといけません。ここをボロボロにしていくわけにはいかないので、要所要所でやっぱり直していかないと。建物というのはどうしても朽ちていきますから。それはかなり大変な作業です。
・熊野町内にある神社とのつながりはあるんでしょうか。
熊野町の中だけでも神社として登録されている数で80以上あります。小さい神社がほとんどなんですが、小さい神社でもやっぱり1年に1回とか2回とか、お祭りをしようという風習が残っていて、そのうちの半分ぐらい40か所ぐらいは私が行かせてもらって神事をさせていただいています。1年に1回決まった日にですね。大体、春と秋に彼岸の日前後あたりが多いんですけど、その時期は全然休めないです。1日に5カ所ぐらい行くこともあります。
・そこではどんなことをするんですか。
それは、要するにここでする秋祭りと似たような感じではあるんですが、神社で神事を行います。
例えば秋のお祭りでしたら、稔りの秋に感謝を申し上げて、これからも皆さん、地域の皆さんをお守りくださいというような、祝詞を上げて玉串奉奠を皆さんにしていただくということです。
小さな神社でも多いところでは、40人ぐらい来られるところがありますし、場所によっては1人だったりするところもあります。そこの守りをされてる方がですね。
・かなり地域との距離が近いんですね。
そうですね。それも私の代から始まったわけではなくて、昔からしてることではあるんです。今はね、コロナで祭りが終わったらすぐ解散というパターンが多んですが、昔は弁当が出されて小さい机を並べてみんなでそこに座って飲み食いをして、私もそこに参加させてもらって、皆さんとお話をさせてもらっていました。地域の方と交流するという意味ではとてもいい機会だと思います。なかなか1人1人とお話するっていうこともないですから。
・そういった地域との関わり中で1番やりがいのあることはなんでしょうか。
普段お参りに来られる方は、私がいれば、ちょっと宮司さん聞いてくださいよってお悩みを言われる方もいますし、私の顔を見に来てくださるような方もいらっしゃるんです。やっぱり相談されたりするのは嬉しいことですよ。頼られてるっていうのはどんな仕事でも嬉しいことだと思います。でも、どちらかというと、悩み担当は妻の方ですね(笑)。
・榊山神社の前の立派な木は樹齢どれくらいになるんですか。
この杉の木は800年を超えると言われています。雷から神社を守ったという木ですね。
・お仕事の中で将来的にやりたいことなどはありますか?
現状、だいぶ境内は直して綺麗になってきたんですが、隣の神楽殿がかなり老朽化しています。今回の修理でこちらも直そうという話が最初はあったんですけど、やっぱり費用がかなりかかるということから一旦断念したんですね。神社は直ったんですけど、今後は神楽殿も綺麗にしたいと考えています。
それと、元々私が宮司に変わったのが10年前なんですが、その頃はお祭りなんかも、人出が今に比べると少なかったんですね。そこから色々なことを考えて、春は子供たちを呼んでお絵描き大会をしたり、秋は神楽を呼んだり、熊野の太鼓クラブにお願いして演奏してもらったりと色々とやってきたんですけど、そうしていくうちに、ちょっとずつ周りから祭りを盛り上げたいと言ってもらえるようになってきましたので、これにとどまらず、もっと榊山神社を知ってもらいたいと思っています。
・最後に、熊野町で好きな場所はどこでしょうか。
筆の里工房に坂面大池という大きな池があるのですが、実はその池の上に小さい神社があるんです。水の神様ですが、そこも毎年春に一度行かせてもらうのですが、そこから見る景色が好きですね。
・神社があるのは知りませんでした。今後ぜひ行ってみたいと思います!
本日はお忙しい中、取材させていただきありがとうございました。
榊山神社
< 住所 >
広島県安芸郡熊野町中溝五丁目1-13
< 交通アクセス >
● 自家用車での御来社:広島市内より約40分(海田大橋~広島・熊野道路)
● バスでの御来社:
広島バスセンターからの場合:広島熊野線(広熊道路経由もしくは向洋・海田経由)中溝バス停下車,徒歩5分
JR呉線矢野駅からの場合:矢野駅・矢野ニュータウン線 熊野営業所下車,徒歩20分
「熊野町つなぐプロジェクト」
広島市立大学「2023年度いちだい地域共創プロジェクト」採択事業
広島市立大学の学生や地域の方と一緒に、熊野に暮らす「人」や熊野で活躍する「人」にスポットを当て、その「人」の想いや取り組んでいることを通じて、地域の魅力を伝える情報発信を行っています。
・熊野町つなぐプロジェクトInstagram:https://www.instagram.com/kumano_tsunagu.p/?igshid=OGQ5ZDc2ODk2ZA%3D%3D